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더블

Title/Author/Genre

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    Title: ダブルside A/ダブルside B(全2巻)

    Author: パク・ミンギュ

    Genre: 文学/短編集(短編各9編、二冊組で計18編)

     

    LTI Korea staff: 李善行(イ・ソネン)soyi@klti.or.kr / +82-2-6919-7743

Description

  • About the book

    パク・ミンギュの2作目の短編集『ダブル』は、初小説集『カステラ』を出してから書いた24編の短編から選り抜いた18編を編んで2巻セットにしたものだ。読者が新しい小説を待ち望んでいると分かっていながらも、5年という長い時間をかけて2巻の短編集を出す理由について作家は「作家の言葉(あとがき)」で「レコード時代の「ダブルアルバム(2枚組アルバム)」への憧れがあるから」と述べている。実際、『ダブル』は上・下巻ではなく、side A・side Bで構成されているだけでなく、アルバムのビニールカバーを連想させる別途のイラスト集も付いていて、まるでレコードを手にしているような気がする。この短編集は、作家自らが「これまで自分を導いてくれたすべての「ダブルアルバム」へのトリビュート作品。大きくて重みのある、粋なレコード時代の情緒に対する素朴な賛美である」と語るほど、格別の意味が込められている贈り物なのだ。

     

    『ダブル』は、彼ならではの魅力の集大成と言える短編集である。パク・ミンギュといえば、よく独特なスタイルやマイノリティーらしい感受性、奇抜な想像力を思い浮かべる。が、この短編集に盛り込まれた18編の短編を読むと、彼の作品世界には私たちの予想をはるかに超える奥深さがあることに改めて気付かされる。

     

    1番目に収録されている作品は黄順元文学賞受賞作の『近処』で、末期ガンと診断された40代の独身男性がふるさとに戻り、幼馴染と会って人生の幕閉めを準備するストーリー。生と死について省察する話し手の淡々とした口調からずしりと響く感動とともに余韻が伝わってくる。認知症患者の妻と最後の旅に出る老人の視線から人生に対する洞察を描いている『黄色の川、一艘の船』(李孝石文学賞受賞作)、そして介護施設を背景に老年期の恋と悔恨について繊細に描写している『昼寝』もパク・ミンギュならではの心打たれるユーモアを期待した読者には意外な印象を与える作品だ。『近処』について作家自ら「石膏像のデッサンのような作品だ」とコメントしているとおり、叙情的雰囲気と事実的描写が際立つこれらの作品は、彼が予測不可能で奇抜な小説だけでなく、小説の基本に忠実な作品もしっかりと書き上げられる作家であることを証明している。

     

    また、『ダブル』には色々な意味で彼のスタイルと隔たりがありそうな作品も多い。遠い未来を背景に深海探査という素材をもって人間という存在の深さを探求する『深』と、時空の分からない「ほかの宇宙」の話をしている『クロマン、ウン』などは、それ自体が優れた本格SF小説で、哲学的思考と重みのある響きを与える。『羊を創造したあの方があなたを創造されたのだろうか』、『ルディー』、『最後までこれかよ』などの作品は、非人間的と言ってもいいほどのヨハネ黙示録的世界観とハードボイルドなスタイルが真価を発揮する興味深い作品だ。武侠小説のスタイルに皮肉な現実風刺を絶妙に組み合わせた『龍』も見逃してはいけない。また、空に逃してしまった広告用飛行船を限りなく追っていくイベント会社の若手社員の話『グッドバイ、ジェフリン』や、遠い火星に行って体あたりで車のセールスに走り回る営業マンの話『ディルドがうちを守ってくれた』は、『カステラ』に収められた『甲乙考試院』や『そうですか、キリンです』を思い浮かばせる、ユーモアにあふれていながらもどことなく泣ける作品だ。

     

    このように『ダブル』に収録された短編は、その素材と性格、雰囲気がとても多彩で、これらの作品を一人の作家が書いたとは信じられないくらいだ。彼の作品が持っている様々な色彩と性質には好き嫌いが分かれ、現実的な色彩の濃い作品が好きな読者もいれば、非現実的な要素が強い作品を高く評価する読者もいる。しかし、この短編集『ダブル』を読めば、パク・ミンギュはそのすべてのスペクトラムを持っていて、彼の作品をいくつかの枠組みで分類することがどれだけ無意味なのか、改めて考えさせられてしまう。少しだけ注意を払ってみると、一つ一つの作品の中でも様々な要素が密に絡み合って、彼ならではの卓越した小説的構成と言語を作り出していることがわかるからだ。例えば、最も現実味を帯びているように見える『近処』などの作品の中でも、ふと非現実的な設定が割り込み作品の意味を立体的に浮き彫りにさせたり、ソウルの上空にUFOのようにアスピリンが現れるという空想の設定から始まる『アスピリン』などの作品が実際には最も身近な話を聞かせてくれているのだ。彼はただ想像と現実、変則と正統をすべて受け入れ、それらを適時適所に自由に配置する作家なのだ。

     

    そして、その世界を貫いているのが彼ならではの文章。登壇の時から新鮮さで注目され、相変わらず新しさを感じさせる文章力である。改行と余白など視覚的装置を上手に活用して情緒的効果を倍増させ、果てしなく拡張していくメタファーで読み手の想像力を刺激する、まるで詩のような彼の文章は、依然として読むたびに驚いてしまう。その文章が短編集の各作品の中で最大の効果を導き出すツールとして使われるとき、それは時には切実な人間愛を物語ったり、時には世界に対する悲観の精神を表現したり、時にはたまらない笑いを誘うこともある。

     

    何よりもパク・ミンギュが話題の的になっている理由は、想像力欠如の時代を生きている21世紀の韓国文壇に向けられた強力で差別化された想像力があるからだ。作家は、短編集のはじめに「ぼくは吸収する/分裂し、繁殖する」と自ら宣言している。言葉どおり、自己発展と変種を重ねつつ、予想外な方向に広がっていく彼の想像力を前にして、いわゆる、純文学とジャンル文学、メジャー文化とマイナー文化のような人為的な境界は無力で、現実と幻想、笑いと涙の区別さえ意味を無くしてしまう。黙々と地道にものを書いて、アグレッシブに書いて、疲れ知らずの想像力のエンジンをかけて書いているパク・ミンギュに向けられている注目と期待の視線に対し、作家は自分のすべてを盛り込んだ『ダブル』という不朽の名盤で応えているのだ。

    About the author

    2010年、あるメディアで調査した「評論家68人が選んだ2000年代最高の作家」に選ばれたパク・ミンギュ。彼について知っている人なら、誰もがうなずくだろう。1968年蔚山で生まれ、中央大学文芸創作科を卒業。2003年に『三美スーパースターズ最後のファンクラブ』と『地球英雄伝説』でハンギョレ文学賞、文学トンネ作家賞を受賞して華麗にデビューしたパク・ミンギュは、新しい作品を発表する度に読者と評論家の熱狂的な反応を呼んだ。李孝石文学賞、黄順元文学賞、李箱文学賞など有数の文学賞を総なめにし、2000年代韓国小説の新しい流れを代表するアイコンとなった。自発的マイノリティーの中で幸せと価値を見つける『三美スーパースターズ最後のファンクラブ』、マンボウと宇宙人など幻想的な素材と現実に対する繊細なタッチが共存する短編集『カステラ』、この世界から忘れ去られてしまったアウトサイダーたちを動員し、隠ぺいされた暴力と不条理に満ちている現実に痛烈な一撃を与える『ピンポン』、そして恋愛というありふれた素材をユニークな発想の転換により描いた『亡き王女のためのパヴァーヌ』など、彼の作品が誇る想像力は、いつも私たちの期待を超えている。

    Media Response/Awards Received

    『ダブル』は、パク・ミンギュ文学の魅力の集大成といえる。時には異種格闘技の選手に、時にはプロレスラーになって想像と現実、変則と正統をいずれも包括しつつ、それらの要素を自由にあやつる作家、パク・ミンギュなのだ。

    ー国民日報

     

    ジャンル小説の文章、漫才に匹敵するユーモラスな物語、大衆文化のアイコンを変貌させた独特な想像力、マイノリティーに対する関心と応援、人生の有限性による悲劇に対する存在論的省察など、全方位に広がっていくパク・ミンギュ流文学のギフトセット。

    ー朝鮮日報

     

     5年間の変化と成長、にもかかわらず変わっていないパク・ミンギュならではの「なにか」が込められている18本の短編。ひとまとめにできそうにない多彩な物語をコネクトするのは、生に対する彼の真摯な問いと省察だ。

    ー京郷新聞

     

    パク・ミンギュの視線は、デビュー作の『三美スーパースターズ最後のファンクラブ』からもわかるように、主にマイノリティーの人類に向けられている。彼らを暖かく、あるいは憐憫にあふれたユーモアで描き出す手腕は抜群だ。この短編集では、憐憫の視線がさらに深まり、今の時代の根本的な素顔を見抜く様相を呈している。

    ー世界日報

     

    型破りの想像力、そして高齢者と若者、非正規労働者など社会的弱者の生き方に送る憐憫の視線が共存している。これこそパク・ミンギュ流小説の中核で、SFや武侠小説といったジャンル小説の文法を借用した作品の中にも、そのジャンルというフレームを外してみれば、その奥には間違いなく弱者に対する哀れみの眼差しが向けられている。

    ーハンギョレ新聞

     

    2007年李孝石文学賞(『黄色の川、一艘の船』)

    2009年黄順元文学賞(『近所』)

    2010年李箱文学賞(『朝の扉』)

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